大白法・平成12年1月1日刊(第340号より転載)御書解説(081)―背景と大意
大聖人様は、建治四(1278)年一月二十五日、五十七歳の御時、身延においてこの御書を
当抄では、金吾殿に対する主君・江馬氏の
大聖人様はまず、成仏得道の法は法華経(御本尊)に限ると断言されたうえで、主君・江馬氏の勘気が解けて再び金吾殿が出仕するようになったことを喜ばれ、これは諸天の計らい、法華経(御本尊)の力によるものであると、いよいよの信心修行を
次いで、来訪していた円教房の、
「江馬四郎殿の出仕のお供をする二十四、五人の侍の中で、
との話を挙げて、同輩からの
さらに、深く金吾殿の身を案じられ、夜間の外出や帰宅の際の用心、火事のときや出仕のとき、また酒席に招待された場合の配慮などについて、微に入り細をうがった指導をされています。
加えて、弟たちには
そして、京で
第一は、御本尊様を根本とした異体同心の信心の大切さです。
具体的には、どのような辛い境遇にある人も、御本尊様を信じ、御法主上人猊下の御名代である指導教師を信じ、さらには講頭をはじめとする講中が一体となり、信頼し合って、疑いを持たずに信行に励むことです。
金吾殿は、他の家臣からの
現代も、時代は変わっても世の中の四苦八苦には少しの変わりもありません。この世を生きていくには辛いことがたくさんあります。しかし私たちには本門戒壇の大御本尊様がおわしまし、そしてまた大聖人様の御法門を現代に御教示あそばされる血脈付法の御法主日顕上人猊下がおわしますとの信心を根本に、指導教師の御住職と講頭が中心となり、講中が組織ぐるみで一人ひとりの講員の信心を守り、励まし合っていくことが大切です。
それが、全魂を傾けて金吾殿を激励された大聖人様のお心に
第二に留意すべきことは日々の信心の姿勢です。
私たち凡夫には「
主君の勘気が解けて、喜びの
「孔子は九思一言、
と仰せられ、仕事・人付き合い・一族郎党に対する配慮や振る舞いについて、油断なく、慎重な中にも慎重に対処するよう、具体的な事例を挙げて御指南をされています。
自らの仕事や立場が好調のときに
また大聖人様は金吾殿に対し、身内親族に対する金銭的な面までも含んだ心遣いや、婦女子に対する態度の寛容さなどをもって、一族が固く団結するよう
今、日蓮正宗は、平成十四年・宗旨建立七百五十年の大佳節を目指しての僧俗一致の法戦の真っ直中にあります。ましてやその闘いの目的は、真の末法広宣流布の
私たちはこの大事な「時」を自覚し、慢心、油断、安易な考えなどを固く誡め、それぞれの立場における責任のうえから、あらゆる事柄に目を配りつつ、三十万総登山達成を目指す折伏戦に、全身全霊を打ち込んで闘ってまいりましょう。
ポイントの第三は、謗法の現証の恐ろしさです。
大聖人様は『三々蔵祈雨事』に、
「日蓮仏法をこゝろみるに、道理と証文とにはすぎず。又道理証文よりも現証にはすぎず」(御書874頁)
と御指南あそばされ、またさらに『立正安国論』等の諸御書に、国土に謗法が弘まる故に三災七難が起こると、災難興起の由来が邪宗謗法にあることを御指南あそばされています。また本抄では京や鎌倉の為政者の館の火災は、謗法を諌めるための諸天や十羅刹女の計らいであると御教示されています。
七百年来、日蓮正宗に厳護される大聖人様の仏法を、
すなわち、あの平成二年、池田大作による御法主上人猊下誹謗スピーチの翌日、雲仙普賢岳が噴火を開始し、大災害をもたらしたこと。『ニセ本尊』の配布直後にして、かつまた、未だに出せないFBI証拠による誹謗報道を掲載した「創価新報」配布に符節を合わせて起こった阪神・淡路大震災などにより、謗法と災難に関する大聖人様の御金言が真実であることを確信し、広く世の人々に教えていかねばなりません。
さあ、いよいよ「折伏実行の年」が開幕しました。
去る平成六年の地涌六万大総会において、御法主日顕上人猊下は、平成十四年に迎える宗旨建立七百五十年の大佳節に法華講員三十万の大結集を、と師子吼なされ、その三十万総登山の目的は、
「広布の確実な進展とともに法界を浄化し、清気・清風を世に送り、国家社会の自他倶安同帰寂光の
ことにあると御指南あそばされました。
この宗旨建立の大恩を報じ奉るため、我等日蓮正宗の僧俗は、昨年を「出陣の年」と銘打ち、一月三日、壮烈な「出陣式」を執り行い、三年間の闘いを開始したのです。
そして迎えた二年目の本年、「折伏実行の年」こそは、まさに三十万達成の闘いの中核となる年であります。三十万総登山の達成が、本年の勝利にかかっていることは火を見るよりも明らかです。
今こそ、私たちは地涌の菩薩の自覚のもと、御指南である「一年に一人が一人の折伏」の成就を、元旦に御本尊様に固く誓い奉り、この誓願をけっして捨てることなく、