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(★1592㌻) 抑三月一日より四日にいたるまでの御あそびに、心なぐさみてやせ さては |
莚三枚、わかめ一篭、頂戴した。 さて、三月一日より四日までの御あそびに、心も慰められ、痩せる病もよくなり、虎を獲るばかりに元気になったところへ、この御わかめを頂戴し、師子にでも乗れる勢いを得た。 さては財はところにより、人によって、変るものである。この身延山には石は多けれども餅なし。苔は多けれども敷物がないから、木の皮をはいで敷物の代わりとしている。(だから、お送り戴いた)莚が財にならないはずがない。 |
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億耳居士という長者は足の裏に毛がはえていた人である。長者が歩くところ、家の内はいうにおよばず、どこでも綿を四寸敷いてある所を歩くようであったという。これはいかなる原因によることかといえば、前世に、尊い僧に熊の皮を敷かせたからであるといわれている。 | |
| いわうや日本国は月氏より十万 |
ましては日本国は月氏より十万余里も隔てた辺国である上、夷の島であり、因果の道理もわきまえそうにない衆生が住み、そのうえ末法である。仏法を信ずるやうにでいて実は謗じている国である。しかるに法華経の御為に名を世に立てられた上に、御莚を法華経に供養されたのであるから。(その功績は、かの億耳居士に勝るとも劣ることはない) |