上野郷主等御返事  弘安五年一月一一日  六一歳

 

 昔の徳勝童子は土のもちゐ()を仏にまいらせて一閻浮提の主となる。今の檀那等は二十枚の金のもちゐを法華経の御前にさゝ()げたり。後生の仏は疑ひなし。なんぞ今生にそのしるし()なからむ。恐々。
  正月十一日                日蓮花押    
 上()がうす(郷主)等のとのばら(殿原)