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(★1586㌻) 満月のごとくなる |
満月のようなお供え餅二十、甘露のような清酒一筒いただきました。 春のはじめの御悦びは、月が満ちるがごとく、潮がさすごとく、草木が茂るがごとく、雨が降るごとくめでたいものであると考えていきなさい。 |
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そもそも、八日は、人々にとって御父である釈迦仏が御誕生なされた日である。その四月八日には三十二の不思議な現象があった。一には、一切の草木に花が咲き、果がなった。二には、大地から一切の宝が湧き出た。三には一切の田畠に雨が降らないで自然に水が湧き、四には、夜が昼のごとく明るくなり、五には、三千世界どこにも歎きの声はなかった。その他いずれもこのような吉瑞の相ばかりであった。それ以来今日に至るまで二千二百三十余年の間、吉事には八日が使われたのである。 | |
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然るに日本国皆釈迦仏を捨てさせ給ひて候に、いかなる過去の善根にてや法華経と釈迦仏とを御信心ありて、各々あつまらせ給ひて八日をくやう申させ給ふのみならず、山中の日蓮に華 正月七日 日蓮花押 人々御返事 |
ところが今の日本国の人びとは皆釈迦仏を捨てているのに、あなたがたは、どういう過去の善根によって、法華経と釈迦仏とを信仰された、皆が集まって八日を供養されるばかりでなく、山中にいる日蓮にまで香華を供養されたのであろうか。まことに尊いことである。恐々謹言。 正月七日 日蓮花押 人々御返事 |