-1446- 十字(むしもち)六十枚・清酒(すみざけ)一筒(ひとつつ)・薯蕷(やまのいも)五十本・柑(こう)子(じ)二十・串柿(くしがき)一連送り給(た)び候ひ畢(おわ)んぬ。法華経の御宝前にかざ(飾)り進(まい)らせ候。 春の始めの三日、種々の物法華経の御宝前に捧げ候ひ畢(おわ)んぬ。花は開いて果(このみ)となり、月は出でて必ずみ(満)ち、灯は油をさせば光を増し、草木は雨ふればさか(栄)う、人は善根をなせば必ずさかう。其の上元三(がんざん)の御志元一(がんいち)にも超へ、十字の餅(もちい)満月の如し。事々又々申すべく候。 正月三日 日蓮 花押 上野殿