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(★1435㌻) 抑久しく申し承らず候の処に御文到来候ひ畢んぬ。殊にあをきうらの小袖一、ぼうし一、をび一すぢ、鵞目一貫文、くり一篭たしかにうけとりまいらせ候。 当今は末法の始めの五百年に当たりて候。かゝる時刻に上行菩薩御出現あつて、南無妙法蓮華経の五字を日本国の一切衆生にさづけ給ふべきよし経文分明なり。又流罪死罪に行なはるべきよし明らかなり。日蓮は上行菩薩の御使ひにも似たり、此の法門を弘むる故に。神力品に云はく「日月の光明の能く諸の幽冥を除くが如く、斯の人世間に行じて能く衆生の闇を滅す」等云云。此の経文に斯人行世間の五の文字の中の人の文字をば誰とか思し食す、上行菩薩の再誕の人なるべしと覚えたり。経に云はく「我が滅度の後に於て応に斯の経を受持すべし、是の人仏道に於て決定して疑ひ有ること無けん」云云。貴辺も上行菩薩の化儀をたすくる人なるべし。 十二月三日 日蓮花押 右衛門大夫殿御返事 |
そもそも久しくお便りを承らなかったところにお手紙がまいりました。そのうえに青い裏のついた小袖一つ・帽子一つ・帯一すじ・銭一貫文・栗一籠等種々の御供養もたしかに受けとりました。 現在は末法の始めの五百年に当たっている。この闘諍堅固・白法隠没の末法の時に、上行菩薩が出現され、法華経本門の肝心たる南無妙法蓮華経の五字七字を、日本国の一切衆生に授けられるということが経文に明らかに説かれている。また、同じく上行菩薩が流罪死罪等の大難に会うということも、経文の上に明らかに説かれている。日蓮は妙法蓮華経の法門を弘通しているがゆえに、その上行菩薩の御使いにも似ている。 法華経神力品にいわく「あたかも日月の光明が能く諸々の幽冥を除くようにこの人は妙法五字を世界に弘めて能く末法の衆生の迷闇を救うのである」とある。 この経文に「斯人行世間」とある五文字の中の「人」の字は誰とお考えですか。これこそ正しく上行菩薩の再誕の人であると確信する。法華経神力品にいわく「我が滅度の後末法に於いて、応に斯の経を受持すべきである。是の人が成仏することは絶対疑いない」と。 あなたも末法における上行菩薩の弘通を助ける役目を持った人といえるでしょう。 弘安二年己卯十二月三日 日蓮花押 右衛門太夫殿御返事 |