阿仏房御返事 弘安元年六月三日 五七歳

 

 

-1229- 

 御状の旨委細承り候ひ畢んぬ。大覚世尊説きて曰く「生老病死」「生住異滅」等云云。既に生を受けて齢六旬に及ぶ、老又疑ひ無し。只残る所は病死の二句なるのみ。然るに正月より今月六月一日に至り連々此の病息むこと無し。死ぬる事疑ひ無き者か。経に云はく「生滅滅已、寂滅為楽」云云。今は毒身を棄て後に金身を受くれば豈歎くべけんや。

-1230-
  六月三日    日蓮 花押

 阿仏房