妙法尼御返事 弘安元年五月一日 五七歳

別名『松野殿御返事』

(★1226㌻)
 
干飯(ほしいい)()・古酒一筒・ちまき()あう()ざし()たかん()な方々の物送り給びて候。草にさける花、木の皮を香として仏に奉る人、(りょう)鷲山(じゅせん)に参らざるはなし。(いわ)んや民のほね()をくだける白米、人の血をしぼれるが如くなるふる()ざけ()を、仏・法華経にまいらせ給へる女人の成仏得道疑ふべしや。
  五月一日    日蓮 花押
 妙法尼御返事
 日月は地におち(しゅ)()(せん)はくづるとも、彼の女人仏に成らせ給はん事疑ひなし。あらたのもしや、たのもしや。
 
 干飯一斗・古酒一筒.ちまき・(あお)(こうじ)(たけのこ)などの品々をお送り頂きました。
 野辺に咲く草の花や、木の皮を香として仏に供養した人で、霊鷲山へ参らない者はありません。まして民の骨をくだいて作ったような白米、また、人の血をしぼったような大事な古酒等を、仏・法華経に御供養なされた女性の成仏得道は、絶対に疑いないのであります。
  五月一日    日蓮花押
 妙法尼御返事
 たとえ、日や月が地に落ち須弥山が崩れることがあったとしても、彼の女人が仏に成られることは疑いないことであります。まことに、たのもしいことであります。たのもしいことであります。