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(★1181㌻) 柳のあをうらの小袖、わた十両に及んで候か。 此の大地の下に二つの地獄あり。一には熱地獄。 |
柿色の青い色の裏地の小袖を頂戴しました。小袖に詰められる真綿は、重さ十両に及ぶのではないでしょうか。 この大地の下には二つの地獄があります。一つは熱地獄です。炭火をおこしたり、野原に火をつけて焼き尽くしてしまう、火というのは、鉄の溶けた湯のようなものです。罪人が焼かれることは、大きな火炎の中に紙を投げ入れ、また大きな火炎に木の削り屑を入れるようなものです。この地獄には、建物などを焼いてその隙に物を盗む人や、放火して敵を攻める人や、人を嫉妬して胸を焦がす女性が堕ちる地獄です。 二には寒地獄です。この地獄に八つあります。涅槃経には次のように説かれています。「八種類の寒冰地獄がある。いわゆる阿波波地獄・阿吒吒地獄・阿羅羅地獄・阿婆婆地獄・優鉢羅地獄・波頭摩地獄・拘物頭地獄・芬陀利地獄」と。この八大寒地獄は、あるいは寒さに責められてあげる声や、あるいは身体の色などから、名付けられたものです。 この日本国の諏訪湖や、越中の立山の北風や、加賀の白山の山頂で鳥の羽根が氷りついたり、夫を亡くした年老いた女性が着ている着物の裾が冷えたり、雉が雪に責められてほろほろと鳴いていることをもって知ることができます。 また、寒さに責められて下あごが、自然にわなわなと震える声を発する様子などをそのまま、阿波波・阿吒吒・阿羅羅などと言ったのです。 また、寒さに責められて裂けた身体の色や形が、紅の蓮華に似ているのを紅い蓮・大紅蓮等などというのです。 どのような人がこの地獄に堕ちるかといえば、この世において、人の衣服を盗み取り、父母や師匠などが寒そうにしているのを見ていながら、自分は分厚いい着物を着て、温かくして昼夜を過ごす人人の堕ちる地獄なのです。 |
| 六道の中に天道と申すは、其の所に生ずるより衣服 (★1182㌻) 一切衆生 十一月十八日 日 蓮 花押 太田入道殿女房御返事 |
六道の中で天道というのは、その所に生まれる時から、衣服がそなわっている境界です。人道のなかでも商那和修や鮮白比丘尼らは悲母の胎内にいる時から衣服がそなわって生まれられたのです。 これは、尊い人々に衣服を与えただけでなく、父母や主君、仏・法・僧の三宝に、清らかで厚い衣服を差し上げた人たちです。 商那和修という人は、裸であった辟支仏に法衣を差し上げて、世々・生々に衣服がその身に付いて回るのです。憍曇弥という女性は仏に欽婆羅衣を御供養申し上げて、一切衆生喜見如来となられたのです。 今、法華経に衣服を御供養申し上げる女性がおられます。後生に八巻地獄の苦を免れられるだけでなく、今生には大難を除き、その功徳の余りを、男女の子供たちに及ぼし衣服に衣服を重ね、色に色を重ねる福徳を積まれるでありましょう。穴賢穴賢。 十一月十八日 日蓮在御判 太田入道殿女房御返事 |