大白法・平成27年6月1日刊(第910号)より転載 御書解説(188)―背景と大意
別名『大師講事』
一、御述作の由来
本抄は、文永六(1269)年六月七日、大聖人様が御年四十八歳の時に、当時鎌倉に居住していた富木常忍に宛てた御書です。御真蹟(二紙完)が京都立本寺に現存しています。本抄には「六月七日」とあるのみで述作年次は判りませんが、古来、文永六年とされており異説はありません。
本文の内容から、当時、大師講(天台大師講)を毎月奉修していたことが判ります。
同年御述作の『金吾殿御返事』には、文永六年十一月二十四日の大師講が、開始以来、三、四年のうちで一番盛大であったことが記されています。このことから当時は、十一月(正当)以外の毎月の大師講にも多くの人が集まっていたと思われます。
二、本抄の大意
初めに「大師講の事」と用件を挙げられた上で、今月担当の明性房から、予定がかち合い都合が悪くなったため、代わりに執行できる人がいればお願いしたい、という申し出があったと仰せです。そして富木殿に、貴方はどうでしょうか、御返事をいただきたい、もし富木殿の都合が悪ければ、他の者に依頼しますと仰せられています。
当時、大聖人様の門下が、大師講における天台三大部等の講義によって教学力を深めていた様子が判ります。