428
爾時仏告。諸菩薩。及一切大衆。 爾の時に仏、諸の菩薩、及び一切の大衆に告げたまわく、
諸善男子。 諸の善男子、
汝等当信解。如来誠諦之語。 汝等当に、如来の誠諦の語を信解すべし。
復告大衆。 復大衆に告げたまわく、
汝等当信解。如来誠諦之語。 汝等当に、如来の誠諦の語を信解すべし。
又復告諸大衆。 又復、諸の大衆に告げたまわく、
汝等当信解。如来誠諦之語。 汝等当に、如来の誠諦の語を信解すべし。
是時菩薩大衆。弥勒為首。 是の時に菩薩大衆、弥勒を首と為して、
合掌白仏言。世尊。唯願説之。 合掌して仏に白して言さく、世尊、唯願わくは之を説きたまえ。
我等当信受仏語。 我等当に仏の語を信受したてまつるべし。
429
如是三白已。復言。 是の如く三たび白し已って、復言さく、
唯願説之。我等当信受仏語。 唯願わくは之を説きたまえ。我等当に仏の語を信受したてまつるべし。
爾時世尊。知諸菩薩。 爾の時に世尊、諸の菩薩の、
三請不止。而告之言。 三たび請じて止まざることを知ろしめして、之に告げて言わく、
汝等諦聴。如来秘密。神通之力。 汝等諦かに聴け、如来の秘密神通のカを。
一切世間。天人。及阿修羅。 一切世間の天、人、及び阿修羅、
皆謂今釈迦牟尼仏。出釈氏宮。 皆今の釈迦牟尼仏は、釈氏の宮を出でて、
去伽耶城不遠。坐於道場。 伽耶城を去ること遠からず、道場に坐して、
得阿耨多羅三藐三菩提。 阿耨多羅三藐三菩提を得たまえりと謂えり。
然善男子。我実成仏已来。 然るに善男子、我実に成仏してより已来、
無量無辺。百千万億。那由他劫。 無量無辺百千万億那由他劫なり。
譬如五百千万億。那由他。阿僧祇。 譬えば五百千万億那由他阿僧祇の
三千大千世界。仮使有人。抹為微塵。 三千大千世界を、仮使人有って、抹して微塵と為して、
430
過於東方。五百千万億。那由他。 東方五百千万億那由他阿僧祇の国を過ぎて、
阿僧祇国。乃下一塵。 乃ち一塵を下し、
如是東行。尽是微塵。 是の如く東に行いて是の微塵を尽さんが如き、
諸善男子。於意云何。是諸世界。 諸の善男子、意に於て云何。是の諸の世界は、
可得思惟校計。知其数不。 思惟し校計して、其の数を知ることを得べしや不や。
弥勒菩薩等。倶白仏言。 弥勒菩薩等、倶に仏に白して言さく、
世尊。是諸世界。無量無辺。 世尊、是の諸の世界は、無量無辺にして、
非算数所知。亦非心力所及。 算数の知る所に非ず、亦心力の及ぶ所に非ず。
一切声聞。辟支仏。以無漏智。 一切の声聞、辟支仏、無漏智を以ても、
不能思惟。知其限数。 思惟して其の限数を知ること能わじ。
我等住。阿惟越致地。 我等、阿惟越致地に住すれども、
於是事中。亦所不達。 是の事の中に於ては、亦達せざる所なり。
世尊。如是諸世界。無量無辺。 世尊、是の如き諸の世界無量無辺なり。
爾時仏告。大菩薩衆。 爾の時に仏、大菩薩衆に告げたまわく、
諸善男子。今当分明。宣語汝等。 諸の善男子、今当に分明に、汝等に宣語すべし。
是諸世界。若著微塵。及不著者。 是の諸の世界の、若しは微塵を著き、及び著かざる者を、
431
尽以為塵。一塵一劫。 尽く以て塵と為して、一塵を一劫とせん。
我成仏已来。復過於此。 我成仏してより已来、復此に過ぎたること、
百千万億。那由他。阿僧祇劫。 百千万億那由他阿僧祇劫なり。
自従是来。我常在此。娑婆世界。 是より来、我常に此の娑婆世界に在って、
説法教化。亦於余処。 説法教化す。亦余処の
百千万億。那由他。阿僧祇国。 百千万億那由他阿僧祇の国に於ても、
導利衆生。諸善男子。 衆生を導利す。諸の善男子、
於是中間。我説燃燈仏等。 是の中間に於て、我燃燈仏等と説き、
又復言其。入於涅槃。 又復、其れ涅槃に入ると言いき。
如是皆以。方便分別。 是の如きは皆、方便を以て分別せしなり。
諸善男子。若有衆生。来至我所。 諸の善男子、若し衆生有って、我が所に来至するには、
我以仏眼。観其信等。諸根利鈍。 我仏眼を以て、其の信等の諸根の利鈍を観じて、
随所応度。処処自説。名字不同。 応に度すべき所に随って、処処に自ら名字の不同、
年紀大小。亦復現言。当入涅槃。 年紀の大小を説き、亦復、現じて当に涅槃に入るべしと言い、
又以種種方便。説微妙法。 又種種の方便を以て、微妙の法を説き、
能令衆生。発歓喜心。 能く衆生をして歓喜の心を発さしめき。
432
諸善男子。如来見諸衆生。 諸の善男子、如来諸の衆生の、
楽於小法。徳薄垢重者。 小法を楽える徳薄垢重の者を見ては、
為是人説。我少出家。 是の人の為に、我少くして出家し、
得阿耨多羅三藐三菩提。 阿耨多羅三藐菩提を得たりと説く。
然我実成仏已来。久遠若斯。 然るに我、実に成仏してより已未、久遠なること斯の若し。
但以方便。教化衆生。令入仏道。 但方便を以て、衆生を教化し、仏道に入らしめんとして、
作如是説。諸善男子。 是の如き説を作す。諸の善男子、
如来所演経典。皆為度脱衆生。 如来の演ぶる所の経典は、皆衆生を度脱せんが為なり。
或説己身。或説他身。或示己身。 或は己身を説き、或は他身を説き、或は己身を示し、
或示他身。或示己事。或示他事。 或は他身を示し、或は己事を示し、或は他事を示す。
諸所言説。皆実不虚。所以者何。 諸の言説する所は、皆実にして虚しからず。所以は何ん。
如来如実知見。三界之相。 如来は如実に三界の相を知見す。
無有生死。若退若出。亦無在世。 生死の、若しは退、若しは出有ること無く、亦在世、
及滅度者。非実非虚。非如非異。 及び滅度の者も無し。実に非らず、虚に非ず、如に非ず、異に非ず。
不如三界。見於三界。 三界の三界を見るが如くならず。
433
如斯之事。如来明見。無有錯謬。 斯の如きの事、如来明らかに見て、錯謬有ること無し。
以諸衆生。有種種性。種種欲。 諸の衆生、種種の性、種種の欲、
種種行。種種憶想。分別故。 種種の行、種種の憶想、分別有るを以ての故に、
欲令生諸善根。以若干因縁。 諸の善根を生ぜしめんと欲して、若干の因縁、
譬喩言辞。種種説法。 譬喩、言辞を以て、種種に法を説く。
所作仏事。未曽暫廃。 所作の仏事未だ曽て暫くも廃せず。
如是我成仏已来。甚大久遠。 是の如く、我成仏してより已来、甚だ大いに久遠なり。
寿命無量。阿僧祇劫。常住不滅。 寿命無量阿僧祇劫なり。常住にして滅せず。
諸善男子。我本行菩薩道。 諸の善男子、我本菩薩の道を行じて、
所成寿命。今猶未尽。 成ぜし所の寿命、今猶未だ尽きず。
復倍上数。然今非実滅度。 復上の数に倍せり。然るに今、実の滅度に非ざれども、
而便唱言。当取滅度。 而も便ち唱えて、当に滅度を取るべしと言う。
如来以是方便。教化衆生。 如来、是の方便を以て、衆生を教化す。
所以者何。若仏久住於世。 所以は何ん。若し仏、久しく世に住せば、
薄徳之人。不種善根。 薄徳の人は善根を種えず。
434
貧窮下賎。貪著五欲。 貧窮下賎にして、五欲に貪著し、
入於憶想。妄見網中。 憶想妄見の網の中に入りなん。
若見如来。常在不滅。 若し如来、常に在って滅せずと見ば、
便起憍恣。而懐厭怠。 便ち憍恣を起して、厭怠を懐き、
不能生於。難遭之想。恭敬之心。 難遭の想、恭敬の心を生ずること能わじ。
是故如来。以方便説。 是の故に如来、方便を以て説く。
比丘当知。諸仏出世。難可値遇。 比丘当に知るべし。諸仏の出世には値遇すべきこと難し。
所以者何。諸薄徳人。 所以は何ん。諸の薄徳の人は、
過無量百千万億劫。 無量百千万億劫を過ぎて、
或有見仏。或不見者。 或は仏を見る有り、或は見ざる者あり。
以此事故。我作是言。 此の事を以ての故に、我是の言を作す。
諸比丘。如来難可得見。 諸の比丘、如来は見ること得べきこと難し。
斯衆生等。聞如是語。 斯の衆生等、是の如き語を聞いては、
心当生於。難遭之想。 必ず当に難遭の想を生じ、
心懐恋慕。渇仰於仏。便種善根。 心に恋慕を懐き、仏を渇仰して、便ち善根を種ゆべし。
是故如来。雖不実滅。而言滅度。 是の故に如来、実に滅せずと雖も、而も滅度すと言う。
435
又善男子。諸仏如来。法皆如是。 又善男子、諸仏如来は、法、皆是の如し。
為度衆生。皆実不虚。 衆生を度せんが為なれば、皆実にして虚しからず。
譬如良医。智慧聡達。明練方薬。 譬えば、良医の智慧聡達にして、明らかに方薬に練し、
善治衆病。其人多諸子息。 善く衆病を治するが如し。其の人諸の子息多し、
若十。二十。乃至百数。 若しは十、二十、乃至百数なり。
以有事縁。遠至余国。 事の縁有るを以て、遠く余国に至りぬ。
諸子於後。飲他毒薬。 諸の子後に、他の毒薬を飲む。
薬発悶乱。宛転于地。 薬発し悶乱して、地に宛転す。
是時其父。還来帰家。 是の時に其の父、還り来って家に帰りぬ。
諸子飲毒。或失本心。或不失者。 諸の子毒を飲んで、或は本心を失える、或は失わざる者あり。
遙見其父。皆大歓喜。拝跪問訊。 遥かに其の父を見て、皆人いに歓喜し、拝跪して問訊すらく、
善安穏帰。我等愚癡。誤服毒薬。 善く安穏に帰りたまえり。我等愚癡にして、誤って毒薬を服せり。
願見救療。更賜寿命。 願わくは救療せられて、更に寿命を賜え。
456
父見子等。苦悩如是。依諸経方。 父、子等の苦悩すること是の如くなるを見て、諸の経方に依って、
求好薬草。色香美味。皆悉具足。 好き薬草の色香美味、皆悉く具足せるを求めて、
擣簁和合。与子令服。而作是言。 擣簁和合して、子に与えて服せしむ。而して是の言を作さく、
此大良薬。色香美味。皆悉具足。 此の大良薬は、色香美味、皆悉く具足せり。
汝等可服。速除苦悩。無復衆患。 汝等服すべし。速かに苦悩を除いて、復衆の患無けん。
其諸子中。不失心者。見此良薬。 其の諸の子の中に、心を失わざる者は、此の良薬の色香、
色香倶好。即便服之。病尽除愈。 倶に好きを見て、即便之を服するに、病尽く除こり愈えぬ。
余失心者。見其父来。雖亦歓喜問訊。 余の心を失える者は、其の父の来れるを見て、亦歓喜し、問訊して、
求索治病。然与其薬。 病を治せんことを求索むと雖も、然も其の薬を与うるに、
而不肯服。所以者何。毒気深入。 而かも肯えて服せず。所以は何ん。毒気深く入って、
欠本心故。於此好色香薬。 本心を失えるが故に、此の好き色香ある薬に於て、
而謂不美。父作是念。 美からずと謂えり。父是の念を作さく、
437
此子可愍。為毒所中。心皆顛倒。 此の子愍れむべし。毒に中られて、心皆顛倒せり。
雖見我喜。求索救療。如是好薬。 我を見て喜んで、救療を求索むと雖も、是の如き好き薬を、
而不肯服。我今当設方便。令服此薬。 而も肯えて服せず。我今当に方便を設けて、此の薬を服せしむべし。
即作是言。 即ち是の言を作さく、
汝等当知。我今衰老。死時已至。 汝等当に知るべし。我今衰老して、死の時已に至りぬ。
是好良薬。今留在此。 是の好き良薬を、今留めて此に在く。
汝可取服。勿憂不差。 汝取って服すべし。差えじと憂うること勿れ。
作是教已。復至他国。 是の教を作し已って復他国に至り、
遣使還告。汝父已死。 道を使して還って告げしむ、汝が父已に死しぬ。
是時諸子。聞父背喪。 是の時に諸の子、父背喪せりと聞き、
心大憂悩。而作是念。 心大いに憂悩して、是の念を作さく、
若父在者。慈愍我等。能見救護。 若し父在しなば、我等を慈愍して、能く救護せられまし。
今者捨我。遠喪他国。 今者、我を捨てて、遠く他国に喪したまいぬ。
自惟孤露。無復恃怙。 自ら惟るに孤露にして復恃怙無し。
438
常懐悲感。心遂醒悟。 常に悲感を懐いて、心遂に醒悟しぬ。
乃知此薬。色香味美。 乃ち此の薬の色香味美を知って、
即取服之。毒病皆愈。 即ち取って之を服するに、毒の病皆愈ゆ。
其父聞子。悉已得差。 其の父、子悉くしに差ゆることを得つと聞いて、
尋便来帰。咸使見之。 尋いで便ち来り帰って、咸く之に見えしむ。
諸善男子。於意云何。 諸の善男子、意に於て云何。
頗有人能。説此良医。虚妄罪不。 頗し人の、能く此の良医の虚妄の罪を説く有らんや不や。
不也。世尊。 不なり、世尊。
仏言。 仏の言わく、
我亦如是。成仏已来。無量無辺。 我も亦是の如し。成仏してより已来、無量無辺
百千万億。那由他。阿僧祇劫。 百千万億那由他阿僧祇劫なり。
為衆生故。以方便力。言当滅度。 衆生の為の故に、方便力を以て、当に滅度すべしと言う。
亦無有能。如法説我。虚妄過者。 亦能く法の如く、我が虚妄の過を説く者有ること無けん。
爾時世尊。欲重宣此義。而説偈言 爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、
439
自我得仏来 所経諸劫数 我仏を得てより来 経たる所の諸の劫数
無量百千万 億載阿僧祇 無量百千万 億載阿僧祇なり
常説法教化 無数億衆生 常に法を説いて 無数億の衆生を教化して
令入於仏道 爾来無量劫 仏道に入らしむ 爾しより来無量劫なり
為度衆生故 方便現涅槃 衆生を度せんが為の故に 方便して涅槃を現ず
而実不滅度 常住此説法 而も実には滅度せず 常に此に住して法を説く
我常住於此 以諸神通力 我常に此に住すれども 諸の神通力を以て
令顛倒衆生 雖近而不見 顛倒の衆生をして 近しと雖も而も見えざらしむ
衆見我滅度 広供養舎利 衆我が滅度を見て 広く舎利を供養し
咸皆懐恋慕 而生渇仰心 咸く皆恋慕を懐いて 渇仰の心を生ず
衆生既信伏 質直意柔軟 衆生既に信伏し 質直にして意柔軟に
一心欲見佛 不自惜身命 一心に仏を見たてまつらんと欲して 自ら身命を惜しまず
440
時我及衆僧 倶出霊鷲山 時に我及び衆僧 倶に霊鷲山に出ず
我時語衆生 常在此不滅 我時に衆生に語る 常に此に在って滅せず
以方便力故 現有滅不滅 方便力を以ての故に 滅不滅有りと現ず
余国有衆生 恭敬信楽者 余国に衆生の 恭敬し信楽する者有れば
我復於彼中 為説無上法 我復彼の中に於て 為に無上の法を説く
汝等不聞此 但謂我滅度 汝等此を聞かずして 但我滅度すと謂えり
我見諸衆生 没在於苦海 我諸の衆生を見るに 苦海に没在せり
故不為現身 令其生渇仰 故に為に身を現せずして 其をして渇仰を生ぜしむ
因其心恋慕 乃出為説法 其の心の恋慕するに因って 乃ち出でて為に法を説く
神通力如是 於阿憎祇劫 神通力是の如し 阿僧祇劫に於て
常在霊鷲山 及余諸住処 常に霊鷲山 及び余の諸の住処に在り
衆生見劫尽 大火所焼時 衆生劫尽きて 大火に焼かるると見る時も
441
我此土安穏 天人常充満 我が此の土は安穏にして 天人常に充満せり
園林諸堂閣 種種宝荘厳 園林諸の堂閣 種種の宝をもって荘厳し
宝樹多華菓 衆生所遊楽 宝樹華菓多くして 衆生の遊楽する所なり
諸天撃天鼓 常作衆伎楽 諸天天の鼓を撃って 常に衆の伎楽を作し
雨曼陀羅華 散仏及大衆 曼陀羅華を雨らして 仏及び大衆に散ず
我浄土不毀 而衆見焼尽 我が浄土は毀れざるに 而も衆は焼け尽きて
憂怖諸苦悩 如是悉充満 憂怖諸の苦悩 是の如く悉く充満せりと見る
是諸罪衆生 以悪業因縁 是の諸の罪の衆生は 悪業の因縁を以て
過阿僧祇劫 不聞三宝名 阿僧祇劫を過ぐれども 三宝の名を聞かず
諸有修功徳 柔和質直者 諸の有らゆる功徳を修し 柔和質直なる者は
則皆見我身 在此而説法 則ち皆我が身 此に在って法を説くと見る
或時為此衆 説仏寿無量 或時は此の衆の為に 仏寿無量なりと説く
442
久乃見仏者 為説仏難値 久しくあって乃し仏を見たてまつる者には 為に仏には値い難しと説く
我智力如是 慧光照無量 我が智力是の如し 慧光照すこと無量に
寿命無数劫 久修業所得 寿命無数劫なり 久しく業を修して得る所なり
汝等有智者 勿於此生疑 汝等智有らん者 此に於て疑を生ずること勿れ
当断令永尽 仏語実不虚 当に断じて永く尽きしむべし 仏語は実にして虚しからず
如医善方便 為治狂子故 医の善き方便をもって 狂子を治せんが為の故に
実在而言死 無能説虚妄 実には在れども而も死すと言うに 能く虚妄と説くもの無きが如く
我亦為世父 救諸苦患者 我も亦為れ世の父 諸の苦患を救う者なり
為凡夫顛倒 実在而言滅 凡夫の顛倒せるを為て 実には在れども而も滅すと言う
以常見我故 而生憍恣心 常に我を見るを以ての故に 而も憍恣の心を生じ
放逸著五欲 堕於悪道中 放逸にして五欲に著し 悪道の中に堕ちなん
我常知衆生 行道不行道 我常に衆生の 道を行じ道を行ぜざるを知って
443
随応所可度 為説種種法 応に度すべき所に随って 為に種種の法を説く
毎自作是念 以何令衆生 毎に自ら是の念を作さく 何を以てか衆生をして
得入無上道 速成就仏身 無上道に入り 速かに仏身を成就することを得せしめんと